『健康で長生きしたい』というのは誰しもが願っていることです。
みなさんは、病気をせず歳を重ねていくために、どんな健康法を実践していますか?食事や運動、睡眠に関することや、ささいな生活習慣など答えはたくさんあるかと思います。
中でも1番ハードルが高く、やりたいけどできない。やった方が絶対に良いとわかっているのに…。というジレンマを抱えてる人が多いのが『運動』ではないでしょうか?
確かに、仕事や家事育児をしながら運動を習慣化することは難しいですよね。かくいう私もジムに登録したはいいが、続かなかった覚えがあります。似た経験をお持ちの方、多いと思います。
そんな方にぜひ試してほしい運動があります。短時間で済み、特別な道具はなにも必要ありません。運動量は軽すぎず大変すぎず、たくさんの人にフィットするであろう運動です。それは【自彊術】です。
今回は改めて注目したい健康法、自彊術についてまとめました。
自彊術とは
自彊術と書くとものものしい漢字と『術』の醸し出す怪しさのせいで、不安を抱く方もいるかもしれませんが、自彊術とは、端的に言えば体操です。
治療法が土台となって考案された体育療法なので健康への効果はお墨付きです。
自彊術って何?
自彊術は『万病克服』つまり、身体が自ら治る力を高めることを目指した体操です。
歴史は古く大正時代に生まれました。当時は医療制度が不十分で、医学に見放された難病の患者が数多くいました。彼らが頼ったのが治療家の中井房五郎氏です。彼は、按摩・指圧・整体・カイロプラクティック・マッサージなどを駆使した手技療法で数々の難病を治したと言われる敏腕の治療家でした。
その腕を求めて身体に悩みを抱えた人があまりに集まるので、自身の治療法を家で実施できるように体操にしたのが自彊術です。
自彊術の読み方
『じきょうじゅつ』と読みます。
自彊術の語源
語源は中国の古典『易経』に出てくることばに由来していて、『自分に強いる』『自らを強くする』と言う意味です。
自彊術の人口
内閣認定の公益社団法人『自彊術普及会』の会員は5,400名、実施人口は約50万人と言われています。
自彊術に類似しているとされるヨガの実施人口は800万人~1000万人と言われているので、比較すると普及率はまだまだ低いのがわかりますが、国内だけにとどまらず海外でも活動が広まっています。
現在の実施人口からみると少しマイナーな体操のようにも感じる自彊術ですが、は300万人もの人が実践していたと言われています。何とあの国民的に有名なラジオ体操の先駆けとも言える存在だったそうです。
戦争の激化によって体操道場が壊滅状態になり次第に風化してしまったそうですが、その健康効果は一定の評価を得ていて根強いファンがいます。
自彊術は英語で何?
英語ではそのままJikyojutsuです。ワシントンD.C.にも自彊術普及会から指導者を派遣した体操教室があるそうです。
自彊術は中国語で何?
中国語では实术(shishu)、自强术です。ワシントンD.C.と同じように台北にも体操教室があるそうです。
自彊術ってどんな体操?
顔と足のマッサージをした後、主に肩関節や股関節を柔軟にする31の動作を順番に行います。この動作は正座から始まり徐々に強度を高め、ひと通り行うとほど良く身体が温まるようになっています。全部で15分ほどの手軽な運動です。
呼吸を意識しながら筋肉を伸ばしたり関節を動かすことで、自律神経の働きを整えることができます。
また自彊術は音楽を使わないので、いつでもどこでも取り組みやすいのも良いところです。かけ声を出して元気に体操している教室もあるそうです。
自彊術まとめ
自彊術について書いてみましたがいかがでしたか?
重々しい文字の雰囲気とは逆に、古くから愛される手軽で身体に良い体操であることがわかったと思います。
今回私が自彊術に注目したのは、自彊術には現代人のライフスタイルにフィットする特別な魅力があるからです。
現代人は、長いコンテンツが苦手とされています。本でも映画でもなんでも、ひとつの長いものを辛抱強く見ているのがどんどん耐えられなくなってきているそうです。それが良いか悪いかはまた別の話ですが、短いものをパッと済ませる方が向いている性分には、この自彊術はもってこいだと思います。
まず、31の動作ですべて完結するというわかりやすさが魅力です。例えばヨガなんかは8400万通りのポーズがあります。その上ポーズ自体はヨガのほんの一部の要素で、精神を高めて自分をコントロールするための様々な気づきや生活様式そのものをまるっとヨガというらしいので驚きです。
太極拳もよく自彊術と比較されますが、様々な門派があり24式や48式など動作の種類も少なくなく、自彊術ほど単純とはいきません。
ヨガも太極拳もそれぞれ魅力的ではありますが、比較すると自彊術の単純明快さには気持ちの良いものがあります。
ただでさえ、終わらない仕事や家事育児に追われて混沌とした毎日を送る私たちです。体を動かす時くらいはカラッとした爽快さと明確な手応えがほしいものですよね。
運動で挫折経験のある人、運動したいけど何から始めたら良いかわからない人、まずは自彊術をきっかけにして楽しく体を動かしてみてはいかがでしょうか?